前後フルサスペンションの自転車を巧みに操るMTB選手が、同じフルサスのモールトンでロードバイクに挑むのです。とても興味深い分析と、新しい発見の連続でした。"出場するからには優勝"と目標を立てて準備していましたが、作業を進めていくうちに、ロード部門でチャレンジしてみたいという気持ちが日に日に増し、急遽、大会事務局に無理を言って大会1週間前にロード部門に変更しました。
前後フルサスペンションの自転車を巧みに操るMTB選手が、同じフルサスのモールトンでロードバイクに挑むのです。とても興味深い分析と、新しい発見の連続でした。"出場するからには優勝"と目標を立てて準備していましたが、作業を進めていくうちに、ロード部門でチャレンジしてみたいという気持ちが日に日に増し、急遽、大会事務局に無理を言って大会1週間前にロード部門に変更しました。
大会までの流れ
10月上旬:山本選手とはじめて直接コンタクトを取る。「小径車に乗ったことがないので、記録を目指すのであれば、最低10日間は準備期間が必要だと思います」と連絡が入る。まさかの練習走行、そして準備期間…という申し出に、驚きを隠せなかった。トップ ライダーがこのチャレンジに本気で取り組んでくれるのだと知ったとき、メカニック魂に さらに火がついて、絶対表彰台に上がるんだと心に決めて準備を進めた。
10月20日/大会2週間前:第一段階のパーツが組み上がったところで、山本選手あてにモールトンを発送。
実走行1日目:山本選手より「小径車だけあって、ハンドリングがクイックに感じますが、すぐに慣れました。レースに向けて、カーブとダンシング時、高速時の下り感覚がまだ意識しないと乗れませんが、重心の位置さえ掴めば問題ありません」と連絡が入る。その時、競技当日は、平均時速40km/h、4時間160kmの計算でレースを展開していくと聞き、構想と作業をさらに進めていった。
実走行2日目:翌日。山本選手より「サスペンションの影響で、地面に張り付くような感覚で高速コーナーを走る事ができました。今日である程度慣れました。まったく問題ありません」と連絡が入る。その後、レースの数日前まで、インプレッションを繰り返してもらい、その間にスペックを変更したセカンドホイールを発送する。その都度、気になる部分を話し合いながら、基本を崩さすに、変更可能な箇所を少しずつ煮詰めて作業を進めていった。
10月30日/大会5日前:練習走行を終えた山本選手からモールトンを受け取り、実車体で採寸しなければいけないパーツの製作に取りかかった。タイムリミットまであとわずか。
11月1日/大会3日前:店の定休日。依頼していたパーツが仕上がったと連絡が入る。現物を確認し、このままでは厳しいと判断したため、1/1000単位で追加工を依頼する。
11月2日/大会2日前:再加工パーツが仕上がったと連絡が入る。確認して持ち帰り、最終セッティングを行う。調整→試乗を何度も繰り返し、深夜ついに完成。山本選手にとっては当日の試走が最初で最後のテスト走行ということになる。
11月4日/大会当日:最終テスト走行後、今まで煮詰めてきた変更箇所など、お互いのインプレッションを話し合う。「テストしていた時のセッティングと全然違いますね!これなら…」という山本選手の言葉に期待が膨らむ。午前8時過ぎ、4時間耐久レースがスタート。序盤から上位グループをキープする山本選手。スペアマシーンを出すこともなく、午後12時、予定通りのアベレージ(走行距離162.988km、周回数28周、平均速度40.33km/h)で無事完走。結果、ロード・ソロ部門6位/310人中、4時間総合10位/914組という好成績で初戦を終えることができた。
大会1週間前に急遽、ミニ部門からロード部門へ変更
Moku Tune Racing Moulton
レース参戦記
今回このチャレンジをするにあたって、本格始動する以前より、この事に興味を持って下さっていた株式会社エムシーインターナショナルの秋吉氏(MAGURA日本総代理店、兼キャノンデールレーシングチーム監督)に相談して、シーズン中のキャノンデール・ディアドラレーシングチームに所属されている山本和弘選手に声を掛けていただきました。そして所属チームの了解を得て、参加して下さることが決まりました。それ以降、レース参戦について秋吉氏よりアドバイスをいただいたり、山本選手からのインプレッションを元にチューンナップをして、3人でこのチャレンジがスタートしました。
2. 山本和弘選手と出会い〜大会当日まで