6. レースを終えて・・・
6. レースを終えて・・・
Moku2+4 林 基行
「例え条件が揃っていても、モールトンでロード部門の入賞は難しいだろう」
…ほとんどの方がそのように想像されたのではないでしょうか。悲しいかな、すぐ傍で一連の流れを見ていた妻まで、しばらくはそう思っていましたから…。でも、チャレンジしてみたかったんです。スモールホイールの自転車が、現在のロードバイクにどこまで通用するのかを。
当日は、1周目である程度の展開が決まると思っていましたが、開始早々からトップ集団に入ってレースを進めているカズ選手に心底感動しました。設計、構造、そして現実のレースシーンでも、かなりのハンディキャップがあったにも関わらず、ロードバイクと互角に戦うことができた…。この結果は、これからの自信にも、さらなるステップにも繋がる貴重な経験となりました。
レース終了直後に、ピットに戻ってきたカズ選手の太ももが痙攣していました。あれだけ毎日トレーニングを積んでいて、毎年シリーズ戦にも出場しているカズ選手の太ももが痙攣しているなんて…。優勝を目指して、すべての力を掛けて挑戦してくれたんだと思うと、また感動して…この日は感動しっぱなしでした。また、レースを指揮する監督、選手、メカニック、サポートスタッフ等、レースに関わっているすべての人が「勝ち」にこだわり、それぞれの得意分野で頂点を目指すこと、それぞれが同じ目標に向かって全力を尽くすことは、想像していた以上に清々しく、気持ちの良いものでした。
はじめてモールトンに乗ったときの山本選手の感想は、「ひと言でいうと『爽快』。単純に気持ちよく、単純に楽しい。モールトンの世界に吸い込まれました。新しい世界を知ってしまったような感じです」
自転車の選手に新しい世界と感じさせるモールトンという自転車は、本当に不思議な乗り物だなぁと、今回改めて感じました。
“ロードバイクと互角に戦える小径自転車を”とはじめたチャレンジですが、レースを通して今まで触れなかった部分にも触れ、博士のモールトン バイシクルに対する考え方や基本設計の奥深さを、さらに鋭い視線で見ることができたような気がします。また、モールトンの可能性も今まで以上により強く感じましたし、次の課題も発見することができました。これからも優勝を目指して挑戦していきたいと思います。
最後に… 今回のチャレンジは、監督秋吉氏の強力なサポートのおかげで、現実に動き出すことができました。山本和弘選手、この機会を与えてくださったキャノンデール関係者の皆さん、そして応援してくださった皆さん、全ての方に感謝します。
ありがとうございました。
Moku Tune Racing Moulton
レース参戦記