今回ご紹介するMoku《改》No.094は、モールトンのお城で半年ほどの歳月をかけて作り上げる
簡単に分割できるステンレスフレームのカスタマイズをご紹介します。
オーナーにこのニューシリーズAMを選ばれた理由をお伺いすると初めに一言「一目瞭然」。
ロードバイクと比較するとモールトンは遠くからでも一目瞭然。 試乗して目からウロコ。
想像以上の乗り味にも感動したし、
モールトンのフロントサスペンション【フレクシター(※1)】も複雑なように見えてとてもシンプル。
Fomura1(F1)などのスポーツカーに採用されているサスペンション構造【ダブルウィッシュボーンシステム(※2)】と
よく似た乗り物として、とても理にかなった構造をしている。
芸術的なデザインは視覚的にも楽しめて、このサスペンション構造は操縦性・走行性も楽しめる。
こんな自転車は何十年経っても現れないと思うし、マネはできても絶対超えられない自転車だと思う。
開発者ドクター・モールトンが生きている間に手に入れたかった。
・・・とまっすぐな気持ちで答えてくださいました。
そして「クルマのミニクーパーのように小さいモノはカワイイ」とも・・・。
またAMシリーズの中から、なぜニューシリーズAMを選ばれたのか尋ねると、大きく3点挙げられました。
まずは、ステンレスフレーム。
そして、フレームの分割が簡単でクルマにも積みやすい。
最後に、フロントフォークとシートチューブ(フレーム)の色のオーダーができるところ。
ステンレスフレームに 色が加わることで優しい雰囲気になるからとおっしゃってました。
そのカラーには、クルマのボディに合わせてブルー系統のブガッティブルー(イタリアンブルー)をオーダーされました。
「一生乗り続ける自転車だね」と最後に一言。
アレックス・モールトンというすばらしい自転車をオーナーからの目線で再確認した今回のカスタマイズ。
これから色とりどりの桜で京都の町は桜色に染まります。
京の町が似合うモールトンと一緒に移り変わる京の四季を感じ、楽しんでいただければ・・・。
そしてそのときにはぜひMokuにもお立ち寄りくださいね。
お待ちしております。
※1:フレクシター
アレックス・モールトン/ニューシリーズにのみ採用されているフロントサスペンション機構。フロントフォークに内蔵されているゴム自身がスプリングとダンパーの役割を兼ねているため、機械的摩擦(金属と金属がふれ合った時に生じる摩擦)が原理的に発生せず、路面からの振動がフレームから絶縁され「シルキーライド」-絹のような滑らかな乗り心地が体感できます。ブレーキング時に発生するサスペンションの沈み込みを防ぐため、多くの実験と綿密な計算で割り出された、平行でない上下リンクの精妙な角度設計により構成されているモールトンオリジナルのサスペンションシステム。ゴムのねじりで機械的摩擦が起こらない、とても特殊なサスペンションを装着している乗り物は、クルマ・バイク・自転車を含めても、モールトンだけと言っていいほど。この機構はモールトン博士が1950年代にクルマ用に開発したものを応用し「フレクシター」と呼ばれています。
※2:ダブルウィッシュボーンシステム
上下2本のアームによってホイールを支えるサスペンションシステム。アームが動き、ホイールがストローク時でも路面に対して垂直に動くため、ホイールベースの変化がなく、凹凸のある路面でもアームがショックを受けるので剛性が高く、安定した走行が体感できます。一般的にクルマに採用されているシステムですが、部品点数が多く、制作精度も高い技術が求められるため、コストが高く、スポーツカーへの採用が主体となっています。モールトンの「フレクシター」は、このダブルウィッシュボーン機構によく似ていて、超小型・超軽量な自転車のためにつくられたサスペンションといえます。
1.[Shimano]Dura-Ace7800最新・最高級フリーハブ。
2. Dura-Ace7800リアディレイラー、カセットスプロケット11-23T。
7~8.フロントサスペンション廻りは本国で組み込まれ納品されてきますが、納品時にヘッドベアリングが正確に装着されている車体はほとんどありません。Mokuではフロントサスペンションアッセンブリーを取り外し、再度装着し直します。
5. Dura-Ace7800 フロントディレイラー。フロントディレイラー台座をチェーンリング歯数62Tまで取り付け可能なように特注で本国へオーダー。
6.Alex Moulton New Series AMシリーズのみ採用されているフレクシターサスペンション(※1)。乗り味はまさにシルキーライド。
3. Dura-Ace7800 クランクセット。ギアの歯数は少し大きめで56-44Tをセレクト。APBシリーズと基本的なサスペンション&フレーム構造が違うAMニューシリーズの20インチは、APBシリーズの20インチとはサスペンションの動きが異なるため、56Tでも充分トップスピードが確保できます.
4. Dura-Ace7800 キャリパーブレーキ。
9.納品時のヘッドベアリングとフレームの隙間をルーペを使用して元の状態を把握します。
10. ヘッドベアリングとフレームの間にほんの少し隙間が確認できます。
11.ヘッドベアリングをフレームから取り外します。
12.このニューシリーズモデルは、モールトンの中でも最上級・最高級フレームですが、これを最大限楽しんでいただくためには少し手を加える必要があります。自転車専用ヘッドベアリング調整工具及びMokuオリジナル調整工具を使って、フレームの精度をより高めます。
13.ヘッドベアリングの王様・アメリカ製[CHRIS KING]ヘッドベアリング。車体全体のアクセントに深いブルーをチョイス。
14.ブレーキレバーに手を添えている状態でブレーキング、シフティングが可能な、Dura-Ace7800 デュアルコントロールレバーを装着。デュアルコントロールレバーは、シフトアップ&ダウンが苦手な方や初心者でも楽しめる操作性の優れたレバー。
15.初心者にも無理なく楽しめる本国[Alex Moulton]純正の角度調整機能付きのハンドルステム。
16. [Shimano]サイクルコンピュータ。走行中のギアポジションがモニターに表示されるので、わかりやすく、速度・積算距離・ギア歯数が一目でわかる表示など多機能。モード切替もデュアルコントロールレバー内蔵のボタンで変更できる逸品。
17.モールトン純正チタン製シートピラー。チタン製シートピラーはこのモデルにのみ付属。
18. 身体に馴染めば手放せなくなるイギリス製[BROOKS]本革サドル。数々のラインナップから上級モデルの軽量スイフトチタンをセレクト。本革バーテープもサドルに合わせてブラックをチョイス。
今回ご紹介した名古屋在住のオーナーと
愛車モールトンとVolkswagen GOLF(Mokuの店先にて)
【左】西京極運動公園内で納車時のポジションや操作方法などのレクチャー風景
【右】息子さんと西京極にて記念撮影。まるでイギリスの公園で撮影したような絵になる一枚。
___SPEC______
●Main Components: Shimano Dura-Ace 7800 10speed
●Stem : Alex Moulton 純正 ウィッシュボーン(140mm)
●Handle Bar : 純正 ウィッシュボーン対応ハンドル
●Tyre : Schwalbe ステルビオ20×1-1/8
●Saddle : Brooks スイフト Titanium
Title: AM-New Series Stainless__Shimano Dura-Ace 7800 (Bugatti Blue)
車種:Alex Moulton_AM
Date:2005年4月
No.009