Frame Alignment Mokuの考える自転車の精度、そして性能 〜

Alignment

アライメントってなんだ?


アライメントとは、整列・一直線という意味で、乗り物には2輪・4輪を問わず、アライメントという調整作業があります。


自動車の場合、ホイールアライメントがそれにあたります。それぞれのホイールの角度を正しい位置にセッティングし、操縦安定性を持たせる基本的な作業です。これは直進性、ハンドリングの安定感、コーナーリングの安定感、ブレーキの効きなどに繋がる重要な作業で、自動車の場合はメーカーの出す基準値に合わせてセッティングが行われています。


自転車の場合もアライメント作業があります。 推進力等を高めるために行われる調整です。 真上から見て、前後ホイールがフレームの一直線上にくるようにセッティングします。自転車の場合は、フレームアライメントとフォークアライメントの二つの行程があります。



アライメント作業で転がり抵抗を軽減させる。


自転車にもアライメント作業が必要です。

フレームとホイールが一直線上に繋がっていない自転車は、 タイヤの横すべり角が生じ、走行抵抗が増えてしまうからです。また、エンド部での1mmの狂いは、オイル缶に水をいっぱい積んだものと同じぐらいの転がり抵抗をもたらすと言われています。そのため、自動車と同様にホイールが傾いていないかなど、自転車にも3次元でのホイールの位置が重要になってくるのです。



人はバランスを保ちながら自転車の傾きをカバーしている。


自転車は自動車と違い、エンジンが人であるため、アライメントが正確に出ていなくても走行が可能です。例えば、ハンドルから手を離したときに自転車が傾いていても、人はバランスを保ちながらその傾きを自然と修正できる能力を持っています。そのため、気がつかないことがほとんどなのです。しかし、アライメント作業で正しく一直線上に整った自転車は、タイヤを引きずることなく、 推進力が高まり、 さらに“よく走る”自転車になるのです。



モールトン・バイシクルのアライメント調整について。


推進力を上げるためには、先に上げたフレームアライメント/フォークアライメント作業が重要となりますが、近年の高級なカーボン製フレームやその他自転車は、 生産効率を上げるため、それぞれが正しい位置に調整されていないのがほとんどです。自転車の場合は、自動車のようにサスペンションアームで調整することができないため、素材(フレーム)そのものを矯正したり、削るなどしてアライメント調整を行います。


モールトン・バイシクルについても、フレームのアライメントに関しては正確に出ていないのが現状です。

ロウ付けの際に、熱による歪みが発生しズレが出てしまうのです。モールトン・バイシクルの場合は、何十本ものパイプで構成される複雑なトラスフレームや、高機能サスペンションの製作に多くの時間が割かれているため、 AMシリーズであっても矯正しなければならないのが現状です。



アライメント作業で、より走る自転車へ。


基本設計の高いモールトン・バイシクルを“より走る”自転車に仕上げるためには、 熱による歪みを元の位置に矯正することが必要です。

では、そのフレームの歪みをどのように矯正していくのか。

本来はフレームを製作する際、まず仮溶接した後、フレームの歪みを点検または修正し、本溶接という手順で進んでいきますが、本溶接後も歪みを点検するのが基本となっています。ですが、大量生産品として販売されている完成車フレームは、生産コストが上がるため、その多くが歪みを段階的に点検する作業がなされていません。そのため完成したフレームの場合は、パーツを全て取り外し、歪みを矯正します。(このアライメント作業は、スチール製のフレームに限って可能です。アルミ製、カーボン製は素材の性質上、生産工程以外での矯正が基本的にはできません)



このように、きちんと下処理された上でセッティングされた自転車でも、 また高性能なホイールや駆動系パーツを装着していたとしても、アライメントが出ていなければ、その自転車の性能を最大限に体感できているとは言えないのです。アライメント作業は自転車にとって基本中の基本なのです。

Frame Alignment

1.リアフォークピボット幅を測定します。

2.スピンドル幅を測定します。

9〜10. 治具を使用して、フレームセンターを計測します。

11〜12. 治具を、リアフォークエンドに当て、リアエンド幅とリアセンターを確認します。 この箇所はほとんどのフレームがズレています。※一度完成したフレームについては、プラスマイナス0に修正する事は難しいため、できる範囲で矯正します。

15. 9番で合わせたシートチューブセンターを、ヘッドチューブに当て精度を確認します。

3.このように1/10mm単位でスピンドルがピボット幅に対して長い場合があります。

4.スピンドルを1/10mm単位で旋盤加工しますが、リアフォークがきちんと上下に動き、なおかつ、ガタが発生しにくいように加工寸法を決めます。この作業が、リアエンド幅、リアエンドセンターを修正する際に必要で、スピンドルの長さがピボット幅より長いとガタが発生し、修正が難しくなります。

5.ボトムブラケットハンガーのフェースカットをします。この作業はフレーム定盤治具を使用する上で必要です。

6.ボトムブラケットハンガーのシェル幅を計測します。

7.削ると、若干ボトムブラケットシェル幅が短くなるため、計測値に応じて定盤使用時にMoku originalシムを数種類の中から選択します。

8.フレーム定盤治具にフレームをセットします。セットする際、7番で選択したシムが重要になってきます。

13. リアフォークエンドドロップアウトに異なる治具を当て、 左右エンドのドロップアウトの精度を確認します。

14. 精度が出ていない場合はどちらかに合わせて削ります。

「快適に、より楽しく、より遠くへ…」

この言葉をキーワードに、 まずは自転車整備の基本、フレームアライメント、フォークアライメント作業についてご紹介します。

このアライメント作業を行うためには、正確に計測できるモールトン専用の定盤が必要になります。そのため定盤を設計し、製作しました。

Fork Alignment

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