1.フレーム組み立て準備
加工前
加工後
1)
本国イギリスより届いたフレームキット。
2)
梱包材を取るとフロントフォークのみが組み立てられています。
2.リアサスペンションのチューニング
1)
加工する前のピボットブッシュを確認すると、回転軸のスピンドルがブッシュより長いのが分かります。
2)
このままではすぐにリアフォークにガタが発生してしまうため、スピンドルを加工します。
※ワンポイント:自動車のサスペンションと同じで、支持部にガタがあると偏摩耗や破損、ホイールの位置が安定しません。
3〜4)
ブッシュ幅とスピンドルの長さを計測します。
5)
次にスピンドルを旋盤で加工しますが、ブッシュとスピンドルを全く同じ長さにしてしまうとリアフォークの動きが硬くなり過ぎるため、0.0数mmスピンドルを長めに加工します。
※決してピボットボルトの締め具合でリアフォークの動きを調整してはいけません。
スピンドル
ブッシュ
1
2
1
3
5
2
4
1)
予めボトムブラケットシェル(BBシェル)にネジ山は立てられていますが精度が悪いため再タッピングします。
2)
フレームと部BBが合わさる部分の精度を上げるため、フェース面を削ります。AMシリーズはBBシェルを削ると基準値より狭くなってしまうことが多いため注意深く削ります。
3〜4)フェースカット施行前と施行後。
5〜6)
注意深くフェース面を整えても、[画像5]の通りBBの形状が斜めになっているものは、BBを取り付けてもBBシェルとの間に隙間ができることが多く、この場合は、0.1mm前後の隙間が空いているため、次の作業を行います。
7〜9)
この斜めの逃げをフレーム側で加工します。画像はBBの形状に合わせてフェイス面をテーパー加工する前と後、加工後にBBを取り付けたもの。
10)
BBのシェル幅を計り、シートチューブセンターに対して左右どちらの幅が短くなっているかを確認します。
11)
リアフォークのエンド幅は、規定の130mmよりも広かったり狭かったりとバラバラです。ロウ付けによる熱でパイプが歪んでしまうのが原因です。ここは修正されないまま納品されるのでこの幅も規定値に近づけるよう修正します。
12)
ここで一旦モールトン専用の定盤で、フレームのセンター(芯)を点検・修正をします。 (リアサスペンションのチューニングとBBフェースカットを行わないとフレームのセンターを出すことはできません。モールトンバイシクルの多くは、フレームセンターがほとんど出ていないため、より快適でより走るモールトンを組み上げるためにはこの作業が重要になってきます)
3.ボトムブラケットのフェースカット
4.フロントサスペンションのチューニング
1〜2)
フロントフォークは、はじめから本国で組まれたものが納品されますが、手を加えなければいけない箇所が多くあるため、もう一度すべて分解し元のグリスを洗浄します。
3)
ラバーバンプストラップの下にアルミ製の黒いアダプターが付いていますが、きちんと手を加えれば必要のないパーツなので取り外します。また、このアダプターがあることでサスペンションの調整幅も狭まってしまいます。
4〜5)
ところがアダプターを外してしまうと、ネジ山の付け根部分に塗装皮膜とロウ付けのロウが付着したままなので、[画像5]のようにラバーバンプストラップとフォーク上面に隙間ができてしまいます。
6〜7)
このままでは強度が劣ってしまうため最後までネジを切り直します。
8)
ネジ山を切ったことで、ラバーバンプストラップがきちんと最後まで収まるようになりました。
9) 次にフォーク下部に付いているだるま型のボトムリンクの加工に入ります。
10)純正ボトムリンクの形状は多かれ少なかれ、画像の通り左右対称ではなく厚さもバラバラです。
11) このまま装着すると、金属(フォークエンド)と金属(ボトムリンク)が干渉してサスペンションがスムーズに動きません。
12) そのため、ボトムリンクの淵を左右均等に整え、さらにフリクションプレートの厚みより薄く加工します。(フレームにも個体差があるため、現物合わせで加工していきます)
13〜14) ボトムリンク加工後。
加工したことで、フォークエンドとボトムリンクの間にわずかな隙間ができ、動きがスムーズになります。これは目で確認できるモールトンのサスペンションチューニングの基本です。
次は、フロントフォークの下準備&アライメント編です。
アダプター
ラバーバンプストラップ
加工前
加工前
加工後
加工後
フリクションプレート
ボトムリンク
フリクションプレート
1
2
9
11
13
3
5
7
10
12
14
4
6
8
加工後
ボトムリンク
フォークエンド
5
8
1
2
6
7
10
3
4
9
11
12
テーパー加工後
施行前
施行後
テーパー加工前
AMシリーズは完成車のTSRと違って、一からフレームを組み立てていくため、組み立て方法、そして作業時間も異なります。専用工具を使っていても、単に組むだけではMoultonの良さを体感することはできません。Moultonのような繊細なバイクは入念な整備が施されてこそ、その確かな走りを実現することができます。また、ウィークポイントを把握しながら組み立てていくことで、より完成度の高いMoultonに仕上がります。
Mokuでは、より長く、より快適なコンディションで楽しんでいただくために、上質のグリスを使用し、専用工具を製作するなど、作業の一部ではありますが以下のような手順で、一台一台丁寧に組み上げお渡ししています。
● Moku2+4の組み立て - Build Up/Set Up - ●